初夏の思い出

ひどくなるばかりの下痢と、何となく胸のあたりが乳房っぽくなって来てるのが気になってはいたものの、太ったからかもしれないし、夜中に食べたくもないのにドカ喰いしてしまうから胃腸もやられるに違いない。ということにして、毎日毎日酒ばかり飲んでいたのは、それ以外に何か思いつく事があまり無くなってたからでしょう。昼の仕事の合間にストロングチューハイのロング缶をまいばすけっとで三缶買って漫画喫茶で空ける。居酒屋の仕事が終わったら、ちょっと飲み歩いたり、すごく飲み歩いたり。夜の仕事が無い日は、四時くらいからやってる安居酒屋を探して自転車でうろうろしていた。家に帰る途中でまたストロングチューハイを買って、それを飲んだら日本酒を四、五合飲んで、口の中が甘ったるくなるので、そこから焼酎をまた四、五合飲んで、気を失うように寝ていた。というか、実際気を失ってたのかもしれない。下痢の色が白くなると、それは胆汁がうまく作れなくなった印なので、相当やばい、というのをものの本で読んで、毎日便の色を何となく確認するようになった。もう水に近くて、色なんてよくわからない。乳房が作られつつあるのは、肝臓がやられてホルモンがおかしくなってるからだと、ものの本で読んだ。ものの本という言葉を何かと使う先輩がいて、いつからか真似をして使うようになった。今も使う。ものの本。