創作

電車が寒い。夏の間は気にならなかったけど、5センチだか10センチだか開けてる窓から、びゅーびゅー寒風が吹き込む。みんな割と素知らぬ顔でいるので、寒いのは私だけだろうか、なんて思わないでもないけど、そんなはずはない。寒いよ。毎年暖房の季節になると、電車の中は暑すぎると思ってたので、ある意味本望なのだけど、下手すると外より寒くなったりするので、調整が難しい。そんな寒さにやられてか、風邪はひくし、ぎっくり腰になるし、ろくなことがない。

親が札幌にいるのですが、年寄りが大した意味も無く外出するなんざ以ての外、みたいなムードになってるようで、鬱々としているらしい。これから雪も増えて、老人にとっては過ごしにくい事この上ない冬になるのでしょう。何もしてやれないのを、少しだけ申し訳なく思う師走。

 

2,3日前に、高円寺円盤もとい黒猫高円寺店に久しぶりに行ってみたら、伊那の本店にいるはずの店主田口さんに、また会った。よく会いますね、と言ってみたら、俺に会うのはレアだよ、と。伊那のお店にも行ってみたいのだけど、わざわざ行ったら田口さんはいなかったりしそうだ。犬風さんはいるのかな。

その高円寺円盤改め黒猫で、「創作」という本を買った。田口さんが古物として出会った日記を、内容そのまま書籍化したものらしい。作家を志す地方の若者の日記。装丁も実際の日記を模してか無駄な装飾が一切なく、この本が偶然拾い上げられたものだという事が思い起こされる。その内容なのですが、何というか、まったくもってこれは私の話なのでは…と思ってしまう位、身につまされる日々の記録で、自分の若い頃と重なり、何とも言えぬ気分になった。志を新たにした次の日には挫け、享楽に流れ流され、自棄になる。なのにやめてしまう事は出来ず、何かを変えなければと思い悩んでは、見当外れなことを始める。見ていられない…けど、引き込まれて読んでしまった。

これはもう、完全に文学作品としての何かにはなりえていると思うので、ある意味彼の思いは成就しているのではないか、とも思うのですが、ご本人は今、一体どのような状態に居られるのか。ご存命なら古希を迎えた位?ちょうど私の親の世代だ。自らの文章が書籍化され、世に出回っている事を、知っているのか、いないのか。ちょっとお話聞きたい気分。

f:id:epil:20201213001818j:plain

http://enban.cart.fc2.com/ca29/3985/p-r-s/