私は、はと組だった

子供といる時間が長い。朝夕には送り迎え、仕事から帰って食事が終わったら風呂に入れて、歯を磨いて寝かしつける。休日は休日で一緒に出掛ける。公園に行ったり、電車に乗ったり、ご飯を食べたり。先日、駅前のベンチに二人で座って、まちおかで買った駄菓子を食べてたんですが、何なんだ、この高校生デートみたいなのは!いや、そんな思い出、俺には微塵も無いけど!でも、五、六年も経てば、こんな事も無くなるかもなあ、寂しいなあ、なんて思ったり。そんな時間の中で、自分が彼女くらいの年齢だった時の事がフラッシュバックする事が、たまにあります。ほとんどは他愛のないどうでもいいような瞬間で、一緒に石を拾い集めて並べている、いとこのおかっぱ頭だったり、必死に三輪車を漕いで、何処かへ向かってる道の風景だったり、何かというと怪我ばっかりしてたので、痛くてただただ泣いてた事とか。

 

ラーメンの食べ方の話を妻としていて、レンゲに小さなラーメンを作る食べ方の話になった。その食べ方の話になると、幼稚園の時に仲が良かった友達のお母さんのことを思い出す。本当にいつも、その友達が暮らすアパートに私は入り浸っていて、そこにいつもいたおばあちゃんの事や、いたりいなかったりだったお母さんの事もよく覚えている。何がそんなに気が合ったのか、今となっては、あまり定かでは無いのですが、とにかく仲が良かった。ある日、ラーメンをみんなで食べに行くという事になって、という事は休日だったのかなと思うのだけど、そんな日でも入り浸っている私は、よその家の子だという自覚はあって、どうしたらいいのだろう、帰った方がいいのかな、などともじもじしてたら、ラーメンくらいご馳走してやる!みたいにお母さんに言われて、一緒に行ったのです。そこでお母さんに教えてもらったのが、レンゲに小さなラーメンを作る食べ方。かなりいい歳になるまで、何でそうなったのかは忘れながら、その食べ方でラーメンを食べていた。誰かに、何だその女みたいな食べ方!とか言われて辞めたんだったかな。たぶん。

 

その友達と私は、お互い違う小学校へと進み、何年かはたまに会ったりしてたのだけど、その内、そんな事も無くなった。そんな情景を、ラーメンの話をしながら、ぼんやりと思い出していただけだった私に、突然何かが降ってきたのです。んんん~!あれれええ?何だこの感じ?その友達の名前を今でもよく覚えている私は、猛烈な違和感を感じたのです。私は、そいつの事を今も知っている。でも、何で?矢も楯もたまらず、すぐに検索した私。ビバ!情報化社会。そして私は、その彼が東京で音楽活動をしていて、しかも私の知り合いの知り合いくらいの距離で何年も存在してた事を知りました。がーん!猛烈に感じた違和感は、このせいだったのか!ていうか、ツイッターをやってた頃、リツイートされたその彼の言葉を見て、この人いい事言うなあ、とか思ったりしてたよ!何で気付かなかったのだろう。画像を何枚か見たけど、間違いなく幼きころの友、その人なのです。懐かしい。まさかこんな形で見つけるなんて。

 

ちょっとメールでもしてみたい。とは思ったものの、いきなり連絡取っても怪しすぎるし、そんな事もありそうなのが、向こうは全く覚えてないということで、どんな形がいいのかなあ、と思いながら、ネットに上がっている彼の音源などを、昨日から聴いているのです。でもまあ、何でもいいか。連絡してみよ。