退院

音声合成の声でずっと喋らせるタイプの動画がすごく苦手で、いつも踏んだ瞬間に見るのをやめるのですが、子供は割と好きでよく見てるので、同じ場にいるとだんだんイライラしてきて、無理矢理消したりするのだけど、そんな動画を、となりのベッドのおじさんは夜中にずっと小さく音出ししながらスマホで見てて、術後でただでさえ痛みやら点滴交換やらでろくに寝れないのに、大概にしろコノヤロー、ていうか、お前、昼間ずっと寝てるから夜寝れないくせに、全然寝れなくてつらいとか昼間看護婦さんに言ってただろクソヤロー、とかカーテン越しにグルグル朝までループしながら一晩過ごしたら、割と思ったよりも体が楽になってて、そんな怒りも薄れていったのでした。

大部屋の皆さんは、食事も出来ず、動くのもつらそう、みたいな感じの方が多く、自分なんかよりよっぽど大変そうだ。夜中にロボットボイス動画を見るくらい許してやろう。と快復するに連れて余裕も出てきたのですが、いざ夜が更けてまたぞろ動画が始まるとストレスしかなく、やっぱり何か言った方がいいだろうか、とか考えてると、たまにビッグバンドジャズな曲が始まる。真夜中の病室に、小っちゃな音で金管楽器の音が響く。この曲、何て曲だろうか。このおじさん、こんなのが好きなんだなあ。とか考えながら眠った気がする。

思ったよりも早く、三泊四日で帰還しました。よかった。より良い人間になったかはわかりませんが、傷跡が四つ増えて、臓器が一つ減った。お腹が張って苦しい。ガスが溜まってるからだそうですよ。頑張って屁をひり出すんだ、はらわたども!