農家

もやもやもやもやと、農家になりたい、と妄想を始めたのは何年前だったか。たぶん、五、六年前に働いていた居酒屋のバイトがあまりにもきつくて、そのきつさから逃げるために色々妄想してた内のひとつだったと思う。一時とか二時とかに仕事が終わって、ダブルワークだったので七時には起きなきゃだから、すぐに帰って寝ればいいのに、毎日毎日朝方まで飲み歩いたり、帰ったら帰ったで家で飲んだくれたり、そんな朦朧とした頭で考えてた事なので、どこまで本気だったのかはわからないのですが、誰にも会わずに野菜育てて、田舎だからスタジオを自分で建てて、そこで演奏したりしながら一杯飲んで、横にガレージも建てて、そこで愛車のRZをいじりながら一杯飲んで、などと妄想しながら、気絶するように意識を失くすまで飲んでた気がする。しょうもない。

 

農家になれるかどうかはわからないけど、とりあえず朝顔くらいしか育てたことがないので、野菜を育ててみたい!と思って、去年から区民農園で野菜を育てています。なかなか抽選の倍率も高いらしいのですが、運よく通ったのです。そして、トマト、ナス、インゲン、メロン、スイカ、トウモロコシ、黒豆、サツマイモ、イチゴ、カブ、白菜、大根、カボチャ、ショウガ、などを育ててみました。やってみてまず驚いたのは、作物の種類によって、育てやすさが全然ちがうこと。病気や虫にすぐやられてしまうメロン。似たようなもんなのに、全然育てやすいスイカ。がんがん虫がつく枝豆。がんがん周りを侵食して行くサツマイモ。そして、品種によって、全然味が違うこと。同じトマトでも、トウモロコシでも、イチゴでも、サツマイモでも、かなり違う。そして、一番思ったのは、やっぱり楽しい!絶対向いてる。一人でもくもくとやる感じとか、太陽と雨と風と土と草の匂いにまみれる感じとか、すごく楽しい。知らなかった。あながち、ふらふらになりながら現実逃避してるだけでもなかった、という事かもしれない。

 

でも、やればやるほど、スーパーの野菜の値段が信じられなくなります。これが一つ100円とか、ありえん!!と思いながら、買うようになりました。この値段のものを、これ以下のコストで作り上げる、という作業が全く想像つきません。どうなってんだ、農業!!気になるぜ。それはさておき、とりあえず明日もカボチャの授粉をしに行くのです。ミツバチがいなくなったら三年で地球が滅びる、とかいう話知ってますか?なぜなら植物が受粉出来ないから、という話らしいのですが、ミツバチも万能ではないので、人も授粉するんですよ。人工授粉。朝しか花は咲いてなかったりするので、朝行くのです。晴れるといいな。