オブリビアンズ

  

東京に出てきてすぐの頃、だから、もう何年前かっていうと、17年前ですか。すごいなあ。昔だねえ。ギターウルフのライブを観るために、福生まで行きました。まだ土地勘とか無いから、烏山から福生までの距離感とかも分からなくて、いざ出掛けてみたら、いつまで経っても到着しないので、えらいびっくりしたのを覚えています。でも、まだ東京初心者の田舎者なので、まあ眠らない街、東京はこんなものなのだろう、ビッグシティトキオ!、なんて思いながらライブハウスに着いたら、入場料が円でもドルでも払えて、さすがに、限りなく透明に近いブルーな街は違うぜ!なんて思いましたですよ。ははは。


その日のライブは、オブリビアンズというアメリカのバンドの日本ツアーの中の一公演だったのですが、ギターウルフはその前座で素晴らしい演奏をしてくれまして、フロアーで荒れ狂う米軍の若者に紛れて、所在無く、どぎまぎしながらも感動したのを覚えています。上京したばかりの青年に、東京って凄え!、と思わせるには十分すぎるインパクト。ギターウルフ偉大なり。


そして、最後に出てきたオブリビアンズ。だったんだけど、メンバーの一人が、明らかにぐだぐだに酔っ払ってまして、酩酊といってもいい状態でした。間違えまくるし、一人で勝手に演奏しまくるし。でも、それなりにライブ演奏における高揚感みたいなものは発散していたので、客も酔っ払ってるし、なしくずし的に盛り上がっていました。まあ、こういう事もあるのかなあ、なんて観ていたのです。


そうしたら、演奏の途中に、メンバーの一人がいきなりギターを投げ捨てて、酔っ払いにつかつかと歩み寄っていきました。ん!?、なんて思う間も無く、いきなり渾身の右フック!!もんどり打って、ひっくり返る酔っ払い!!えええ!!!ふらふらと立ち上がる酔っ払い。そのままよろよろと返したのは左ストレート!!は、あっさりよけられて、とっ組み合いを始める二人!!怒号飛び交うステージ上!!なのに、客はまだ暴れてる!!


さすがにどうにもならなくなったその場に、ギターウルフの人やら何やら、その日の対バン、スタッフ、ごちゃごちゃと入り乱れて、何とかその場を収めたのでした。


話は変わって、三ヶ月ほど前。私、久しぶりに、楽器を持って、人前で演奏する機会があったのですが、まあ何というか、かなり酔っ払っていました。その時の映像を、友人が撮影してくれていて、今日、観ることが出来たのですが、いやあ、本当にひどかった。酔っ払って、人前で演奏なんてしちゃいかんですね。本当に、改めて思い知り、反省いたしました。そして、こんな昔話を思い出したりもして。


17年前のオブリビアンズは、荒れた場が収まった後、改めて演奏を始めて、かなり良いライブを見せてくれました。その日の帰りに買ったシングルのレコードは、今でもたまに聴きます。私も、改めて、どこかで良い演奏が出来ればいいけどなあ。なんて思ったりしています。